2022.04.05

実感できる好景気は日本ではもう無い

■実感できる好景気とは


20年近く前、こことは別のブログで私は日本ではもう実感を伴う好景気は無い!と、断言しました。今の所、その予想は当たっています。


好景気とは、みんなが将来の不安もなく、今後、ずっと、給料が上がり続け、世の中が明るい毎日というイメージがあると思います。しかし、例えば、将来の不安、これは、年金がもらえるか、もらえても年金だけでは老後のお金が足りないからいくら貯金しておけばいいのかという不安があったりします。


実感できる好景気とは、収入(賃金等)が毎年増えていき、物価も収入が増える率と同じぐらいに毎年上がり続け、働き手が増え続けていき、将来の不安がなくなることができれば、実感できる好景気がやってきます。


■デフレスパイラルだった日本


しかし、日本は、賃金が下がるか横ばいかでこの30年近くが経ちました。また、ここ最近は外的要因で仕方なく物価だけが上がってはいますが、これは悪い物価の上がり方です。数年前までは、物価は下がる一方でした。


また、働き手を担う若者は少子化でどんどん減り、お金が掛かる高齢者が当面、増え続けていきます。今まで、頑張って頂いた高齢者には感謝しております。感謝はしておりますが、経済的に考えると、どうしても生産しないのに医療費が増える一方で年金の若者負担が増えていくと言うことになります。


特に収入(賃金等)が上がって物価も上がるというインフレは、好景気を感じるためには重要で、今年来年辺りは少しチャンスがあるかもしれませんが、今のままでは収入の中でも賃金がなかなか上がりません。政府が賃金を上げた企業には、税制優遇する制度をようやく導入しました。


しかし、これだけでは、特に中小企業は賃金の向上には全体の平均から考えるとなかなか難しいのではないかと思います。


■労働市場の流動化と規制緩和が重要


考えてみてください。100年に1度の~(リーマンショック、世界的な感染症の流行、大災害、産業構造の変化や技術革新(例:自動車産業)など)が起きてる中で、経営者としては将来の不安を取り払うためにもお金をキャッシュ(この場合は現預金)として残しておきたいものです。特にサラリーマン社長だと、よりその傾向が強くなると思われます。


そう考えると、日本では固定費である給料を1度上げてしまうと、なかなか下げることができないため、経営者としては、極力、給料を上げたくない。なので、少なくとも、自分が社長の間は給料を上げない。と、なってしまうわけです。


人手不足と言われる業界とかは、ジリジリと賃金が上がってる業界もあったりはします。しかし、産業界全体で言うと、年によっては一時金(賞与)が増やされて1年だけ賃金が上がったという年もありますが、基本的には、賃金は上がっていません。


では、どうすれば良いのか?やはり、労働市場の流動化と規制緩和が必要だと思われます。会社側からしたら一時帰休やレイオフ、リストラをしないといけない時に、すぐにそれを実行できなければなりません。しかし、今の日本の法律は、比較的やりやすい一時帰休ですら、なかなか難しかったりします。ましてやレイオフやリストラとなると、ほぼほぼ実現不可能でしょう。特に中小企業では。ですので、会社側としては、金銭との交換によってレイオフやリストラができる制度仕組みを国が作ってくれる必要がありますが、日本は世界で最も成功した社会主義国家と言われるほど、労働者の権利が強い国です。同じく労働者の権利が比較的強いヨーロッパの国でさえ、金銭と交換によるレイオフ、リストラができる仕組みがあります。日本だけは、労働者の権利だけが守られており、企業側の権利はあまり認められていません。
なので、労働市場が硬直している一面があり、労働市場の流動化が起きにくい原因の1つとなっています。


また、労働者側から見ても、大人になったら、今更勉強はしたくないと言って、勉強をしない大人が日本では本当に多い。例えば、アメリカでは、転職するからと言って、30代でも40代でも50代でも、再度、大学に学びに行き、必要な知識やスキルを身につけ、それを武器に転職をしたりします。しかし、日本の大学生を見ると、学部の学生のほとんどが18歳~24歳ぐらいまでです。アメリカの大学を見ると(もちろん大学にもよりますが)、30代~50代の大学生も少なくありません。このように労働者としても次のステップアップのために、大学に行きやすい環境と雰囲気を日本国内でも醸成していく必要があるでしょう。もちろん、大学入試の制度も考えないといけません(社会人専用の入試枠があっても良いかと思います)。


その上で、労働者は自分を企業に売り込み、企業は新卒を一括で採用して会社に入ってから育てるのではなく、即戦力を採用していくようにしていく必要があります。その為、総合職は今後無くなっていくでしょう。よく言われるジョブ型雇用が一般的になると思われます。これは、コロナのおかげというと怒られるかもしれませんが、企業もコロナで変わらざるを得なくなり、ジョブ型雇用が増えてきたと言えるでしょう。新卒の一括採用は続くとは思いますが、徐々に新卒もインターシップからのジョブ型雇用に変わっていくものと思われます。


そうすることで、労働市場の流動化が活性化されていき、賃金がじわじわと上がっていくことは間違いないでしょう。


■結論


政府が賃金を上げた企業に対し、税制を優遇させる制度を設けたことは一歩前進と言えます。しかし、労働の流動性が起きなければ、なかなか持続した賃金の上昇は起きないでしょう。老後の不安や少子高齢化も賃金が上がらない長期的な間接要素として考えなければなりません。


そう考えると、2代目・後継者・アトツギが社長になったときに、また、今、社長ならば、日本国内において実感できる景気回復はもう今後100年ぐらいは起きないかもしれません。であれば、海外に活路を見つけるしかありません。国内の人材不足と海外への活路を考えると、やはり外国人の雇用や海外での子会社設立などは必須と言っても過言ではありません。


日本の人口は近々1億人を切ると言われています。しかし、世界の人口は今も増え続けており、2020年の時点で77億人が世界にはいます。1億人(もしくはそれ以下)と77億人。どちらの方が市場が大きいか、よく分かりますよね。


インターネットが世界へのビジネス展開の敷居を低くしてくれました。中小零細企業もこれからは世界に飛び出していきましょう!それのみが唯一の成長戦略なのかもしれません。