2022.03.18

壮絶な親子喧嘩

■壮絶な親子ゲンカ


壮絶な親子ゲンカの結果、大塚家具はヤマダデンキに吸収合併されてしまいました。先代と先代を慕ってた役員達は、悲しみに朽ち果てたことでしょう。また、2代目だった娘も不本意な結果となり、心から悲しんだはずです。いや、悲しまなければ、娘についていったスタッフが浮かばれません。この親子げんかはマスコミでも面白おかしく報道されたので、皆さんもご存じのことでしょう。


結論から言うと、日産の派閥争いと何一つ変わらない派閥争いだったと言うことです。もう少し、親子という観点から見ると、2つの側面があるかと思います。

 

 

■一つ目、娘が社会的承認の欲求が強すぎた

社会的承認の欲求というのは、誰しもが持っている心の中の欲求です。マズローの欲求五段階説に基づけば、上から2番目の欲求となります。

これは、いわるゆ見栄です。マウントを取るのもこの社会的承認の欲求がそうさせます。人より上でありたい。人から羨ましがられる存在でいたい。だから、大きな家を建ててみたり、高い車に乗ってみたりします。また、人より優れている人から認められたいという欲求こそが社会的承認の欲求です。人のことを批判して、相対的に相手を下に見、自分がその相手より相対的に上に立つという欲求もそうです。他には、有名な人やその業界でのカリスマ的な人などと俺は知り合いだ!と言う人も正に社会的承認の欲求を満たそうとしてる人です。

娘の久美子社長は、この社会的承認の欲求が強すぎたんでしょう。もう少し、父親とそのブレーンの人達の立場を理解してあげられれば、会社をヤマダデンキグループに譲渡することもなかったかもしれません。もう少し、私が!私が!を減らせられれば、大塚家具は存続できたかもしれません。

 

 

■二つ目、高級路線と大衆路線

先代の勝久元社長は、会員制の高級路線を掲げました。娘の久美子前社長は大衆路線を掲げました。これは、私は久美子前社長のミスだと思います。なぜなら、大衆路線となると、ニトリやIKEA等と競合することとなり、都心部に大型店を構えていた大塚家具は、立地の良さからコスト面で弱点となり、その固定費の高さ故に、財務体質が悪くなってしまいます。ましてや安い単価の商品を売るとなると今までのような販売数やアイテム数では到底利益を出せません。

 

ダイエーがまさにこのパターンでしくじってしまったときと同じしくじり方です。都心部に大型店を構えていた大塚家具は、高級路線のみでしかその利益を出せません。そこに久美子前社長の社会的承認の欲求と、財務戦略やマーケティングをあまり知らない2代目の弱点が重なり、失敗してしまったと言うことです。

 

 

■解決解決策はあったのか?

解決策はありました。株主総会の前に、先代の勝久社長とそのブレーンの人達の顔を立てて、大塚家具としては高級路線でやっていき、別会社、あるいは別ブランドで大衆路線を展開するという方法です。これであれば、どちらかがだめになりそうになったときは、お互いを助け合うこともできたでしょう。
2代目としての気持ちもよ~~~~~~~~~く分かります。先代から、周りから認めて欲しい。私の手柄は私の手柄。気持ちはすごく分かりますが、もう少し我慢すべきだった。せっかく社長になっても会社がなくなってじゃ意味がない。


このように、壮絶な親子喧嘩はスタッフを巻き込みながら決していい方向には行きません。なので、2代目・後継者・アトツギも我を前面に出すわけではなく、先代の顔や先代を慕っているブレーンたちの立場も考えながら少しずつ自分のやりたいことをやっていく。これが1番良い方法なのかもしれませんね。